WORKS 実績
ECHO COFFEE TOKUNOSHIMA シリーズ初の100%国産コーヒー
徳之島は、鹿児島県奄美群島の離島で、豊かな自然が残る世界自然遺産の島です。
亜熱帯の気候、冬から春にかけてクジラが回遊するサンゴ礁の美しい青い海、太古の昔に大陸から切り離された事により、独自の進化を遂げた固有種が生息する照葉樹林に覆われた山々。

そんな自然豊かな島で、国産コーヒーの栽培がおこなわれている事はご存じでしょうか?
なぜ徳之島でコーヒーの栽培が始まったのか、そのコーヒーが誰によって育てられ、どんな想いを込めて皆様の元に届き、どんな未来を目指しているのか、島のコーヒー栽培の歴史と共にご紹介していきます。
吉玉さんが植えた、最初のコーヒーの木

徳之島でのコーヒー栽培は約44年前、吉玉誠一さんという1人の男性がスタートさせました。
後に「徳之島コーヒーアイランドプロジェクト」として、様々な人たちや企業を巻き込んでいく事になるのですが、吉玉さんが最初にコーヒーの木を植えた理由は、「なんか楽しそう」「この気候だったらコーヒーがうまく育つかもしれない」という、まるで少年のような、わくわくした純粋な気持ちからであったそう。
𠮷玉さんが奥様の道子さん、そして3人のお子様と共に徳之島に移住してきた当初は、元々の夢であった農業や、大阪の鉄工所で20年働いた経験を活かした仕事で生計を立て、また、妻の道子さんも島内の喫茶店で仕事を始め、家族の新しい生活を支えておられました。
移住してから2年後、コーヒーの木を奄美大島の知人から譲り受け、島でのコーヒー栽培をスタートさせました。その4年後に無事に実がついたものの、栽培初期は土地開発や台風被害により、何度も畑を移転せざるを得ない状況が続きました。
それでも地道に栽培を続け、2000年頃に島内でコーヒー生産者組合が設立されました。度重なる台風被害で離脱する方がいたり、𠮷玉さんご本人も仕事の都合で島を離れる期間もあり、停滞してしまった時期があったものの、島でのコーヒー栽培は途切れる事なく続いていきました。
転機が訪れたのは、2017年。味の素AGF株式会社が中心となり、徳之島を日本一のコーヒー産地にする事を目標とする、徳之島コーヒーアイランドプロジェクトがスタートしました。
このプロジェクトでは、一番の課題であった台風への対策として、パイプハウスの建設を行ったり、コーヒーの加工場の設備投資などが行われ、島内での加工体制が一気に強化されていきました。

また、生産者組合から生産者会と組織名を変更し、徐々にコーヒーの栽培や生産体制も見直されていきました。
コロナ終息後、海外からコーヒー栽培の専門家を招くなど、技術面での支援も始まり、生産者が増えた事で収穫量も安定して増加していきました。
𠮷玉さんは徳之島コーヒーの商品化を誰よりも心待ちにしていましたが、2024年9月の実現を見届ける一歩手前で天国へと旅立たれました。
受け継がれる挑戦

𠮷玉さんがお亡くなりになられた後も、徳之島コーヒーアイランドプロジェクト、生産者会の挑戦は続きました。
特にこの1、2年で30代の若手層が入会する動きが見られており、現在は約30名程度の会員が活動中です。
現役世代が手を出しにくい農業分野において新たな担い手が現れており、コーヒーをキッカケに島の次の担い手達が集まってきています。
その中の一人である時任かおりさんも、Uターンで徳之島に戻ってこられた方のうちの一人です。
島に戻ってきた当初は、まさか自分がコーヒーの栽培をするとは思ってもいなかったものの、役場主催のコーヒー作りの体験イベントに参加した事で興味を持ち、自分でもコーヒーの木を植えてみられました。
すでに生産者会があったので、その方々からの応援やアドバイスを受けすぐに畑づくりを行う事ができ、比較的軽やかな気分で栽培をスタートできたそうです。
何かうまくいかなかったら、アドバイスしてくれる方が周りにたくさんいて、皆で話し合い解決していく、そういった島の方々の支えが、現在も活動を続ける原動力となっているとお話ししてくれました。
また、味の素AGFさんの支援も引き続き行われており、支援という枠を超えて一つのチームとして徳之島コーヒーの今後のビジョンを共有しあっています。
ただお金を出すだけの支援ではなく、2~3カ月に1回は島を訪れ、生産者の皆さんと密にコミュニケーションを取り、徳之島コーヒーの安定生産と普及に尽力しておられます。
徳之島コーヒーが目指す未来

「これからの徳之島コーヒーの未来をどう描いていますか?」という質問をした際、味の素AGFさんも生産者会の皆さんも同じ回答でした。
目指すのは「徳之島コーヒーの産業化」。それに向けた様々な課題に一つずつ向き合い、解決していきたい、と。
例えば、現在は関係人口が増え生産量は増加傾向にありますが、品質を維持するために手作業での選別を徹底しており、それが効率化を阻む要因ともなっています。
産業として自立するためには、高品質を保ちつつも、いかに生産効率を向上させるかが今後の重要な課題であると認識されています。
そして何より、コーヒー栽培が生産者にとって生活の選択肢の一つや楽しみとして継続され、金銭的な利益だけでなくコーヒー栽培を行うこと自体の楽しさを生産者に実感し続けてもらう事、その先に全員が目指す未来が見えてくるはず。最初に𠮷玉さんがコーヒーの木の栽培を始めた時の気持ちである「わくわく感」を大切に、これからの徳之島コーヒーのさらなる発展を全員で目指していきたいと話してくださいました。
ECHO COFFEE TOKUNOSHIMA

ECHO COFFEEは、FARMER YOUが継続して届けるコーヒーシリーズです。生産地と消費者の想いを「ECHO(=反響)」させ、互いに響きあう関係を育むというFARMER YOUの願いが込められています。
今回も東京・青山にあるLittle Darling Coffee Roastersのバリスタと共に、豆の個性を感じてもらえるコーヒーを完成させました。
酸味と甘味のバランスのとれた味わいで、トロピカルフルーツやストーンフルーツに似た果実味と徳之島の黒糖のような甘味の余韻が続くコーヒーです。
温度が下がってくると、より果実味の強い味わいを楽しめますので、時間をかけてゆっくり味わっていただくのがお薦めです。
今回、初めて100%国産コーヒーをお届けするにあたり、私も実際に現地を訪問させていただき、短い時間でしたが島の歴史を学び、コーヒー栽培の現場を見せていただく機会に恵まれました。
コーヒーの圃場や加工場は綺麗に整備されており、この場所をいかに大切に繋いでこられたのかを肌で感じ、味の素AGFさんや生産者会の方々のコーヒーに対する深い愛情を知る事ができました。
また、私が受けた印象として、島民の皆さんは、過剰に干渉せず、無理に笑ったり気を遣ったりせず(良い意味で、です。)、ただただ普通の日常を私たちに見せてくださったように思っています。
私は京都出身なので、もしかしたら過度に演出された街に少し慣れてしまっていて、気づかないうちに日常の美しさを忘れてしまっていたのかもしれません。
徳之島では、「ありのままである」という事がいかに潔く美しいかを知る事ができました。
その感覚が情景として伝わるかと思い、パッケージは帰りの空港に向かう道中、偶然出会った闘牛と勢子(せこ)の男性が散歩をする様子を撮影した1枚を採用しました。
徳之島の闘牛は、約500年の歴史があり、今も途絶える事はなく年間20回以上の大会が開かれています。
私が徳之島で感じた、独特の時間軸や、無駄に他人に干渉しない、当たり前の日常を淡々と過ごす姿が、この写真から感じていただけるかもしれません。
徳之島コーヒーは、貴重な国産コーヒーではあるものの、島民が日常的に育てる事ができる分を大事に育てている。
そんな普遍的な「日常」を感じつつ、独特の空気感を感じてもらえるパッケージになっています。
これまで徳之島コーヒーを繋いできた人たちと、それを支えてきた人たちと、これからを繋いでいく人たち。
時代背景も世代も違う人たちが「コーヒー」を通して繋がり、その先にどんな未来が待っているのか。
そんなまだ見ぬ未来に想いを馳せれるような、可能性に満ちた味わいのコーヒーをお楽しみください。

