WORKS 実績

藻場再生 実証実験

March 26, 2026
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海の黒子になる仕事。

鴨川の海に、少し変わったブロックが沈んでいます。

見た目は地味な、六角形のごつごつした塊。でもこれはコンクリートじゃない。有機物(栄養素)や再生土壌などの再生資材からつくられた「有機体ブロック」という人工魚礁です。表面に微生物が棲みつき、やがて海藻が根を張り、魚が集まってくる——生態系が自分の力で立ち上がるための、”生きた足場”です。

FARMER YOUは2026年3月、このブロックの海中設置プロジェクトに関わりました。

主役は山形の研究者とこの有機体ブロックの開発に並々ならぬ努力を重ねてきた生産チーム、そして鴨川のひとたち。私たちは今回、実証実験地を探し、その海に関わるひとたちとこの研究者チームを繋ぎ、沈める事自体の行政調整や沈めたあとの経過観察など、実証実験の一部として関わることをしています。


「おいしさ」の手前にあるもの

FARMER YOUは、一次産業の現場にある課題を、食というポジティブな体験に転換して都市に届けることを仕事にしています。

農家と消費者をつなぐ。漁師と食卓をつなぐ。そういう仕事をしていると、どうしても「その手前」が気になるようになります。魚が水揚げされる前、海で何が起きているのか。豊かな漁場は、どうやって守られているのか。

近年、日本各地の沿岸では「磯焼け」が深刻化しています。海藻の森が消え、稚魚や稚貝が育つ場所が失われ、海底が砂漠のように変わっていく。それは漁獲量の減少だけでなく、海が本来持っている「CO₂を吸収する力」やその生態系自体の喪失にもつながる、静かな危機です。

「おいしい魚と漁村の雰囲気、そこに根付いた文化ごと残したい」そう思うなら、目の前の海で起きている危機から目を逸らせない。それが、今回のプロジェクトに関わった理由のひとつです。


酒田で証明されたこと

「有機体ブロック」の開発を手がけた株式会社環境内水面資源研究所は、山形・酒田港での先行実証で、すでに一つの答えを出しています。

投入からわずか51日でフジツボと藻類が定着し、371日後には牡蠣が自然に着生。408日後にはメジナやイシダイ、アジの群れが集まり始め、500日後には海藻が茂る景色が広がりました。

かつて何もなかった海底に、生き物の気配が戻ってきた。「生き物が戻る海」が実証されています。


鴨川で問うこと

今回の舞台は、千葉県鴨川市のフィッシャリーナ鴨川。豊かな自然と漁業が地域の誇りであり続けてきた町で、観光客も訪れるマリーナという「人と海が混在する空間」での実証です。

地元の漁協、マリーナ、そして研究者たちが一緒に向き合うのは、一つの問いです。

「人の利用と自然の再生は、両立できるのか」

港に人が集まり、その足元の海に生き物が戻ってくる。そんな場所を鴨川につくれたなら、それは全国の沿岸施設へのモデルになる。酒田での実証を経て、今回の鴨川がその第一歩です。


物語を、都市へ届ける

今回、FARMER YOUが担うのは海と人と地域をつなぐこの挑戦の「文脈」を育て、都市に暮らす人たちに届けること。私たちがずっとやってきたことと地続きです。

漁師が海を守り、研究者がデータを積み上げ、地域が動いていく。その物語の語り部であること。それが、今回の私たちの仕事です。

鴨川の海の変化は、今後JOURNALでも更新していきます。


Project Data

実施日:2026年3月25日

実施場所:千葉県鴨川市 フィッシャリーナ鴨川

実施主体:株式会社環境内水面資源研究所

協力:鴨川マリン開発・(有)KGM、南部漁港管理事務所、鴨川市漁業協同組合

資材協力:アイエスエンジニアリング株式会社

全体調整:株式会社FARMER YOU