JOURNAL ジャーナル

「ただ美味しい」のその先へ。FARMER YOUと対馬の海の物語

October 29, 2025
Tsushima, Nagasaki
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Written by
Satomi Fujimura FAREMER YOU

こんにちは。FARMER YOUに9月から入社したばかりの私が、今回初めて対馬を訪れました。
この旅は、代表を含め、名古屋・東京・大阪・福岡のレストランから集まった5名のシェフと私の計7名での訪問。FARMER YOUとしては4度目の対馬ですが、私にとっては初めての地。現地の空気を肌で感じながら、私なりの視点で綴ってみたいと思います。

【 対馬との出会いは「バリカツ」から】
FARMER YOUと対馬の繋がりは、海の磯焼けの原因のひとつ「アイゴ」という食害魚を使った「バリカツ」の共同開発から始まりました。
このバリカツは、対馬の丸徳水産さんと一緒に生み出した商品で、今では全国のレストランやカフェで使われています。
加工・物流・販売までの道のりを想像すると、並々ならぬ努力があったことは容易に想像できます。

【対馬の味に触れる「肴や えん」での昼食】
福岡からプロペラ機であっという間に対馬へ。


到着後すぐに向かったのは、丸徳水産さんが運営する「肴や えん」。ここでいただいた昼食は、どれも忘れられない味でした。
特に印象的だったのは、当日の朝に水揚げされたサバの刺身。脂が乗っているのに、さらっとしている…不思議な美味しさ。
さらに、同じく食害魚とされる「イスズミ」のメンチカツ(2019年fish-1グランプリ受賞)は、臭みゼロで旨味がぎゅっと詰まった絶品でした。

【海と生産者に触れる「海遊記」ツアー】
午後は、丸徳水産さんが企画する体験型ツアー「海遊記」に参加。
地元漁師さんと連携したこのツアーでは、マグロの養殖場でのエサやり体験や、昼食でいただいたサバの養殖場の見学も。
都心部で暮らしていると、生きた魚を見る機会はほとんどありません。
でも、こうして生産の現場に触れると、「当たり前に食べているものは、全然当たり前じゃない」と気づかされます。
魚と海を愛する漁師さんたちの努力に、ただただ感謝の気持ちが湧いてきました。

【磯焼けと藻場再生の取り組み】


こちらは、かつて藻場だった場所。今では岩場となってしまっています。
原因のひとつは、温暖化による水温上昇で北上したアイゴが海藻を食い尽くしてしまうこと。
対馬では20年以上前からこの課題に直面しており、暮らしにも大きな影響を与えています。
それでも、丸徳水産さんや地元の皆さんの努力により、一部では藻場の再生が確認されているそうです。

私たちも微力ながらこの取り組みに関われていることが嬉しく、遠く離れた場所からでも支え合える関係を築いていきたいと感じました。

【夜の語らいと未来への想い】
夜は、海の幸を囲みながら、立場の違う仲間たちと仕事や海、山のことなどたくさん語り合いました。


「ただ美味しい」のその先にあるものを伝えるには、まだ知識も経験も浅いかもしれません。
でも、誠実に取り組んだ未来がちゃんと報われるような仕組みを、生産者の皆さんと一緒につくっていきたいと思います。
対馬の皆様、丸徳水産の皆様、また来年、笑顔でお会いできる日を楽しみにしています!

(おまけで、代表が撮影した対馬の星空です。)